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寒さに耐えてやっと芽吹いた小さな花。
細い茎に重そうに数枚の葉を付けている。
太陽の光に照らされ、そよ風にわずかに揺られるその姿は、とても愛おしく、心に安らぎを与えてくれる。

毎日そうしていたように、その時もいつもと同じように、なにもせずただじっと見つめていた。
でも風ではない他の誰かが葉を揺らしていた。
そっと葉をめくると小さな青虫がいる。
僕はそれをそっとつまんで、雑草の上においた。

翌日、葉の一枚が半分ほどになっているのに気がついた。
顔を近づけると、青虫が必死に口を動かしているのがわかる。
僕はそっとつまんで手の平に乗せると、隣の空き地に運んで木の根元に置いた。

そしてその次の日、葉がすっかり食い荒らされて、萎れかけた花を見た。

……何か大切なものを壊された気がした。

手に取った殺虫剤を勢いよく吹き付けると、僕の小指ほどに大きくなった青虫は呆気なく地面を転がって必死にもがいている。
そして動かなくなった。

しばらくして、花は元気にまっすぐ立った。
今もまっすぐ立っている。
でもなぜか、そこに安らぎはなかった。

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